自分の気持ちをきちんと伝える技術 平木典子さん
どうもhiroakiです。
最近、表現について考える機会があり、書籍を読んで学んだので、内容をまとめたいと思います。
自分の気持ちをきちんと伝える技術とは
誰もが、気持ちのよいコミュニケーションをし、よりよい人間関係を持ちたいと望み、言葉を使う以前から、自分の気持ちや考えを分かってもらいたいと思っています。でも、人は自分たちの自己表現の背景となる知識や経験は、お互いに異なっていますので、分かりやすいことと分かりにくいことがあり、誰もがすぐ理解し合えるとは限らないのです。
本書は理解できないのは自分のせいでも、相手のせいでもなく、それは当たり前だと気づかせてくれます。本書で説明する「アサーション」は、違いを認め、気持ちのよいコミュニケーションを進めるための考え方とスキルです。アサーションを理解すれば、率直なコミュニケーションがそれほど難しいことではなく、自己表現に躊躇したり、誤解されることに恐れを抱いたりはしません。自分の気持ちをきちんと伝える基本を図解でわかりやすく解説し、素晴らしい人間関係を作る方法を紹介します。
図解 自分の気持ちをきちんと「伝える」技術―人間関係がラクになる自己カウンセリングのすすめ
- 作者: 平木典子
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: 単行本
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では、まとめていきます。
自分を上手に表現しよう
人間関係は必ずコミュニケーションの伝え手と受け手で成り立っています。
伝えたいことは相手の受け取り方で変わります。自分の言ったこと(刺激)は、相手に多様なイメージや状況を想起させ、様々な感情を起こします(作用)。
また、相手の心の中で何が起こるかは、相手の自由です。そのため、「誤解やズレは当たり前」と考えると良いでしょう。私たちひとりひとりの理解の枠組みや言葉への意味づけは必ずしも同じではなく、また相手が自分と同じ言葉を使っても、その言葉に対する意味づけが同じとも限りません。そのため人は自分のなかで起こっていること、伝えたいことを全部表現することはできません。例えば頭の中では、次のようなことが起こっています。
①伝えることを選択する。②伝える順番を決める。③ぴったりの言葉を探す。④話す。
コミュニケーションのなかで、自分を正確に伝えようとする努力のほかに、もうひとつ大切なことは、相手が言っていることを相手の思いに即して理解しようと努力することです。自己表現はできるだけ正確に、そして他者理解もできるだけ相手の基準に沿ってやろうと努力することが必要です。相手の伝えようとすることを相手に沿って理解するには、「聴く」ことが大切。相手が言葉と表情、態度、声の調子などで分かってもらおうとしていることを、その人が分かってもらいたいように理解しようとすることが重要です。
例えば次の例に目を通してみてください。
コップの例:例えば私が「今朝、コップを割ってしまったんですよ」と言えば、相手には受け取り方が何通りもある。
例えば、自分はこの経験を「残念だ」と感じており、相手は「あわて者だ」と感じた場合。
相手から「よほどあわてていたんでしょう」と言われたときは、私は意外な顔つきをしたり、残念だという表情をして、その時の気持ちを表現することが大切であると同時に、相手はその様子を受け取り、気持ちや思考の枠組みを理解しようとする姿勢が必要です。その時、「それはどんなコップなのですか」と尋ねてみるといいかもしれません。「ヨーロッパ旅行の」という答えが返ってきて、理解が深まります。
会話は伝え方と受け取り方の枠組みの交換であり、行き違いや誤解の修正のプロセスです。
自分の自己表現のタイプは?
お互いを大切にしながら、それでも率直に素直にコミュニケーションをすることを「アサーション」といいます。
攻撃的な人:相手の言い分や気持ちを無視、軽視して自分を押し付ける言動。
非主張的な人:自分の気持ちや考えを表現しなかったり、しそこなったりする言動。
アサーティブな人:アサーティブな発言では、自分の気持ち、考え、信念などが正直に、その場にふさわしい方法で表現されます。相手が自分と同じように発言することを奨励する、相互尊重の自己表現が重要です。これを目指していきます。
特定の人や特定の状況でアサーションできない人は、そのことにまず気づくことが重要です。自分の攻撃的または非主張的な言動を意識することで、自分の行動を変えるチャンスをつかみやすくなります。
会社では従順な人が家庭で暴君に→このような人は人間関係や社会的場面で、常に周囲との関係で物事を進めようとするので、自分の気持ちに正直になれず、したがって自己表現が自己欺瞞的(自分をあざむきがち)になってしまいます。
対人恐怖症や暴君と呼ばれる人は、表面的な平静さや強がりの裏に、不安、緊張、孤独感などの気持ちがあります。このような人はまず、そこから抜け出すための手立てが必要。あるいは、まず自分を好きなるための援助が必要です。
まず、言いたいことや自分の気持ちが自分でもはっきり分かっていないと、アサーティブになれません。自己表現で重要なことは、自分の気持ちが適切に言えることです。結果や周囲を気にしすぎないようにしましょう。アサーションは基本的人権のひとつと考えましょう。「自分がやりたいと言うことは人権として許される」ことを「理解」するといいです。
例えば、常識と言われるもの、思い込み→大人の都合のいい言い分であったり、おとなが子供を自分の考え通りに動かすための操作的な理屈であったりします(下例)。
・ものわかりのよい人が好まれる
・愚痴はこぼしてはならない
・おとなは子供より偉い
・負けることはよくない
・人を傷つけてはならない
この他にも、上司、同僚などから押し付けられる常識。最近では、テレビやSNSによるものもありますね。アサーティブな人は、それらも含めて対人関係の場面で自分の考えや気持ちを大切にし、敵意やへつらいなく主張することができます。
対人スキルもゴルフやピアノと同じように、学習し、繰り返し実行するという訓練をして初めて身につくものです。初めからあるものではないので安心してください。頼まれごとを断る方法や人との会話の始め方など、場面に応じた対応を練習しましょう。
自分の気持ち、考え方をつかむ訓練=>主語に「私は」とつけることで、自分の気持ちを明確にする。「あなたがにらむから、嫌だ」→「私は、あなたの目をにらまれたと思ったので、怖くなった」など、主体を自分に移しましょう。
誰もが自己表現する権利を持っている
アサーティブでない人は、自信がなさそうで、しかも自分勝手な判断基準で行動しています。
→アサーティブな人は、常識や決めつけを判断基準にしたり、自分勝手な判断をしたりしません。例えば…非主張的「断ることはよくない」「迷惑をかけてはならない」「相手の気分を害してはならない」、攻撃的「やっていいに決まっている」
例では、どちらも知らぬ間に、自他のアサーションの権利を侵しています。「自他の権利を侵さない限り、自己表現をしてもよい」と考えると良いです。
もし、あなたが、自分の欲求や希望はもてない、言えないという考えを持っているとすれば、それを人権という観点から考え直してみる必要があります。そのような権利がもし相手に許されていると思えるなら、あなたにも許されていると思って大丈夫です。人権は相手も自分も同等に持っている。私たちには、誰からも尊重される権利があります。
相互の希望を述べ合う権利を大切にし、相互に確認して歩み寄ろうとする姿勢が重要です。
あなたの感じ方や考え方はあなたのものなので、私たちは、他人の期待に応えるかどうか自分で決める権利があります。アサーティブとは、主張しなかったり、引っ込んだりすることでもあるため、自己主張をしない権利ももちろんあります。
「思い込み」をなくすと生きやすい
日頃の考え方をチェックしてみましょう。
A・エリスの論理療法:ABCD理論
「非合理的思い込み」が悩みを引き起こします。自分の非合理的思い込みはどうなっているか考えることが重要です。
私たちは誰でも過ちをし、それに責任を持つ権利があります。人を傷つけてしまうことは大いにあるため、フォローのために心を砕けば良いです。
例えば不安になると、何もできなくなる人は、「どうにかなるものだ」と思っていると、方策は見つかります。
日頃の自分の言動をチェックしてみましょう。鏡や動画を撮るなど、自分のクセを確認してみましょう。その上で、表現方法の基礎を学ぶことが必要です。
自分のことを知らせないで、人と仲良くなったりすることはないので、自分をオープンにしてみましょう。また、人間関係は一問一答ではありません。質問=答え+α、とすると会話がスムーズになります。目的に応じて、はい・いいえで終わる「開かれた質問」と広がりを持つ「閉じた質問」を適切に使い分ければ、会話が広がっていきます。
また、相手に関心を持てば、相手のことがよくわかり、自分も話したいことが出てきます。積極的に相手に耳を傾けることが重要です。
言葉以外の表現方法を学ぶ
視覚的なもの=>視線、表情、姿勢、動作、人と人との距離、身体的接触の仕方、服装など
表情:鏡をみて、自分の喜怒哀楽の表情をチェックしてみる。
視線:ときたま相手の目を見る。話している口元に視線を移す。
姿勢:両足をしっかり地につけて、胸を張る。人との間の心地よい距離をつかむ。
服装:気分が晴れない時など、逆にシャキッと切るものを決めると、気分も変わる。
動作:手や腕を自由に動かして話をすると、自信があり、自由な印象。
聴覚的なもの=>声の大きさ、話し方の流暢さ、速度、調子、明確さ、余分な音の有無、反応のタイミング
声の大きさや話す速さを調節することが重要です。余分な音が大きすぎたり、変な前置きをするとアサーティブに聞こえなくなります。
非言語的な表現方法は、国、地域、さらには組織風土、家庭などで異なります。率直にアサーティブな態度で相互理解を深めることが重要です。
喜怒哀楽をうまく伝えることや、言葉と行動を一致させることは重要です。
さらに、怒りの感情には段階があるため、なるべく怒りが低い状態の時に表現しましょう。どんなときに怒りを感じるか、自分の怒りをどのように処理するか考えてみましょう。強い怒りを感じたら、相手に脅威を与えないように、「どうしてほしいか」を伝えてみてください。怒りは伝染させないことが大切です。仕返しに自分も怒ったりしないこと、相手の気持ちを否定しないことが重要です。
感想
この作者の例文等みていると、この人もたぶん不器用な人何だろうな、と思えてくる部分が多かったです。
例えば、3章4や6の例文は、どうしてそのチョイスなのか、とか。著者が「はじめに」で述べている文章は、段落の区切りが少々読みづらい。ちょっと伝わりにくい文立てになっています。読んでもらうと分かると思いますが、区切りごとに段落は分けなければいけませんので、これではちょっとおかしい気がしました。
今回は以上です。この他にも関連記事を色々書いていますので、興味があれば覗いてみてください。
では。
読書、映画のすすめ4
どうもhiroakiです。
最近、めちゃくちゃ読書や映画をして学んだことが多かったので、それぞれ簡単にまとめてみます。本当はもっともっと観たり読んだりしているので、おいおいまとめていきます。
▼前回からの続きです。映画、読書のすすめ3
映画
ラ・ラ・ランドを観た。ミュージカルチックで、色使いやストーリーが美しい映画。主人公は最後、彼と別れてしまうけど、もうひとつの人生を思い浮かべるところが震えるほど深かった。すごく深い内容の映画だったので、また観たい。
— hiroaki (@hiroakies) February 15, 2019
2016年に公開されたアメリカ合衆国のロマンティック・ミュージカル映画。俳優志望とピアニストの恋愛を描いた映画で、脚本・監督はデミアン・チャゼル、主演はライアン・ゴズリングとエマ・ストーンが務めた。この映画のタイトルはロサンゼルスと「現実から遊離した精神状態」を意味する。
とにかく深い内容でした。ツイッターにも書きましたが、主人公は最後、彼と別れてしまいます。彼女がふらっと立ち寄ったジャズバーには見覚えのある店名のロゴ「Seb's」と、別れた彼が!そこで、彼女は彼の夢であるジャズバーの開店が叶ったことを知ります。彼の演奏を聴きながら、彼と歩んでいた場合のもうひとつの人生を思い浮かべるのですが、そのシーンが素敵で、切なくて、思わず泣きそうになります。個人的には、別れて欲しくなかった…。
本当に何度も観返したい映画でした。それほど作り込まれてたし内容も驚くほど深かった。作中には様々な有名映画や音楽が出てきて、楽しい気分になります。この感じは映画「ミッドナイトインパリ」に似ているなと思いました。
作中に出てきた映画を、より深く知りたい人は下のWikipediaを参照してみてください。作品を観る前後に色々と観てみるのも楽しいですよ。
個人的には、作中に出てきた「理由なき反抗」もいつか観てみたいと思っています。
▼Every Day
Every Day、を観た。愛する人を交通事故で亡くしてしまった人の話。当たり前な日々がとっても大切だということ、なんだけど。この手の話は映画でよくあるよね。うん、分かってはいるんだけど、泣きそうになった😭良かった。
— hiroaki (@hiroakies) February 16, 2019
ある朝。晴之の目の前に、交通事故で昏睡状態にあったはずの恋人の咲が突然現れる。"時間を、もらったのね。1週間"そう告げると、いつものように弁当を差し出した。その期限を迎える時、咲はどうなってしまうのか。あたりまえだった2人の日常が、特別な時間に変わっていく。
愛する人がいる人は無条件に見てください。当たり前の日常の中、彼・彼女の嫌いなところや、毎日繰り返されて目につく癖を、心のどこかで自分がこんなにも愛おしく思っていたんだと気づかされます。ほんのりと進んでいくストーリーですが、そこには深いテーマが横たわっています。
▼ぐるりのこと。
ぐるりのこと。を観た。
— hiroaki (@hiroakies) February 17, 2019
身ごもった子供を死なせてしまい、うつ病になってしまった妻と日本画家を目指す傍ら法定画家の職を得た夫の話。対照的な性格の夫婦と彼らを取り巻く人々や社会が描かれている。ちなみに「ぐるり」とは、人の身の回りで起こる様々な出来事を指すそう。とても温かい物語だった。
何事もきちんとしたい妻・翔子と、ひょうひょうと生きる法廷画家の夫・カナオ。どこにでもいる夫婦である彼らにおとずれるさまざまな困難。初めての子供の死、妻のうつ……。それでもふたりは一つずつ一緒に乗り越え生きていく――。何があっても別れない夫婦の、10年におよぶ希望と再生の物語。
キャッチフレーズは、「めんどうくさいけど、いとおしい。いろいろあるけど、一緒にいたい」。もしも自分の妻がうつ病になったら、また他人がうつ病になったらどんな風に接するべきだろうか、と考えました。難しいテーマだなと思います。
木村多江、リリー・フランキーの映画初主演作品ですが、他にも今売れてる俳優さんたちが続々と出てきます。それを観てそれぞれのキャラクターを観察するのも楽しいです。観ていると「こんな人自分の周りにもいるな」と思います。映画の中で、そんな色んな人たちをみて、それを淡々と描くリリーフランキーの中に、「映画」という手段で「人を描いている」橋口亮輔監督を見つけたような気がしました。
個人的に、うつ病になった妻が家蜘蛛を殺したくなかった理由として、自分の殺してしまった子供が①家蜘蛛に生まれ変わったとみていたからでは?②子供を殺すことを「生き物(蜘蛛)を殺すこと」と重ね合わせてみていたからでは?、と2つ考えました。
また、物語中に、夫が伊藤若冲を好きだというくだりが出てきます。実は私も若冲が好きなので、観ながらわくわくしてしまいました。
この映画は本当に自分たちの社会、というか生活というか、そういった現実に立ち、そこに焦点を当て、最終的にはそれを肯定するような形で描かれているので、人間賛歌の物語であると感じました。とても好きな話でした。何度も観たいです。
▼セブンルール#87 由府両築
こういうの観ると行きたくなるわ…
— hiroaki (@hiroakies) February 17, 2019
セブンルール
#87 東京から由布院へUターン!創業90年超の人気老舗旅館を継ぐ女将#TVer #セブンルールhttps://t.co/ynddy4bfmb
大分は西日本最大の温泉県として有名。中でも、別府・湯布院は有名。湯布院で古民家を買い取って「由府両築」という旅館を営んでいる夫婦の話。映画ではありませんが、夫婦の細やかなおもてなしに脱帽でした。
感想
自分は読書や映画・動画鑑賞は旅行に似ていると思います。旅行も良いけど、読書や映画・動画などを観て深く知っていくことで、それに近い経験ができると思っています。
「読書、映画のすすめ3」で紹介した映画「光」では、目の見えないモニター正子さんが「いつの間にか私も(映画の)中にいます。同じ空気を吸って、同じ音を聞いて。いろんなものを感じて映画を観てます」と話します。
物語に対する没入感というのは毎回得られるものではないかもしれませんが、こういった形で様々な世界、価値観を知ることはやっぱり面白いことだと思いました。 これからも様々なものに触れ、気ままに趣味を楽しんでいきたいと思っています。
では。