中野にある昔ながらのラーメン屋「中華そば青葉」
どうもhiroakiです。
寒くなってきましたね。
寒いとラーメン、食べたくなってきますよね(笑)
ある日、私は中野区を歩いていました。寒い中歩き疲れたところに、食欲をそそられる良い匂いが。
顔を上げると、なんともレトロな建物。たくさんの迷えるサラリーマンたちが明かりの中に吸い寄せられていきます。
「中華そば…青葉」
聞きなれない名前です(失礼)。
外の券売機には「中華そば」「特製中華そば」「つけ麺」「特製つけ麺」の4種類のメニューが。
気づけば私はのれんの先へ足を踏み入れていたのでした。
のれんをくぐると、そこは劇場でした…
「いらっしゃい」
ぐるりと囲まれた調理場の向こうから、従業員が迎えてくれます。
「ご注文は?」
洗練された調理器具。麺のゆで時間は1秒のズレも許されない。店員の無駄のない動き。
店内のあまりの美しさに、しばらく私は呆然と見とれていました。
「…分かるよ」
えっ?
隣で中華そばを啜っているお客さんが話しかけてきたのでした。
「…あんたの気持ち」
私は早口で反論します。
「私の気持ちなんてあなたに分かるわけが…」
「だったら…」彼は箸を止めて、「あんたの手に握りしめてる切符は一体なんなんだ?」
私はゆっくりと自分の手の平を開きます。そこには思わず握りしめていた切符が、くしゃくしゃのまま閉じ込められていたのでした。
「渡してやんなよ、あんたの気持ち」
私は居ても立っても居られない気持ちになります。気づけば店員さんに向かって、自分の気持ちを口に出していました。
「中野に劇場と呼ばれる場所は…
…てっきり中野サンプラザだけだと思っていました」
店員は困ったような笑みを浮かべます。
「中華そばひとつですね?」
黄金のスープ
切符を渡すと、ものの5、6分でラーメンが運ばれてきます。早い!
黄金のスープは東京ラーメンと九州ラーメンの良さを取り入れたダブルスープなんだと、彼は言いました。
「1996年に創業。昔ながらの心のこもったラーメン。ダブルスープ発祥の店。ミシュランガイド東京にも載ったことがある。それが…」
「青葉ですね」
「そうさ…」彼は私に笑いかけます。「よく分かってきたじゃねえか」
ふと後ろを振り返るといつのまにか行列ができていました。
「おっと。こうしちゃいられねえ。あんた、、俺は後悔だらけの人生だったけどよ。あんたは後ろは振り返らず、目の前の中華そばだけをしっかり見てるんだ」
私はその言葉に頷きます。決心ひとつに箸を割り、一心不乱に麺を啜ります。
う、うまい!
全ての疲れが吹き飛ぶほどの旨さです。
なんだこれは。
実家に帰ったような懐かしさ、しかし初めて出会ったような新しさも感じる味。なんとも不思議なスープです。
「とんこつ、鶏ガラに…かつお節、さば節、煮干しの味もする。どういうことだ」
「動物系と魚系の和風スープを合わせたもの。それがダブルスープさ」
心まで温まる優しいスープに、うどんと中華麺の良さを合わせ持った自家製ちぢれ麺が絡みつき、旨みと共に口の中へと入ってきます。チャーシューはほろほろでメンマもうまい。魚介系スープがしつこさを感じさせないので、いくら食べても胃もたれしない。
気がつくとお皿が空になっていました。
隣を見ると、先ほどのお客さんはもういません。お礼を言いそびれたと思いました。しかしラーメンは旅の思い出、日常の友。いつかまたどこかで彼に出会えるだろうと、思うことにしました。全てのラーメンは青葉につながる、という言葉があるように…。ないか、そんな言葉。
のれんをくぐると、寒空の下「それが青葉だ。また来なさい」と聞こえた気がしました。また来よう、そう思いました。
今思うとあれは、青葉の妖精だったのかもしれません。
ま、何が言いたいのかと言うと、とにかくまた食べたい(笑)
並んででも食べたい、ということです。特に今の季節は。
では。